病院に最適な空調設計は?【モデル病院を元に徹底解説!】

ビルメンテナンス
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オイル社員
オイル社員

マッチ棒先輩!新病院の空調設計について設計事務所さんと打ち合わせすることになったんですけど具体的に伝えておかないといけないことってありますかね…

マッチ棒
マッチ棒

そうやな~病院の空調設備は実際の運営をよくわかっている者が決めるのがいいと思うで!オイル君もその点については経験してよくわかってるやろ?

オイル社員
オイル社員

いや~何となく現状の空調方式が最適なんかなぁ~ってくらいで深く考えたことないです…

マッチ棒
マッチ棒

えっ?そうなん…マジか…

わかった!今回は具体的な例を元に考えてみよか!

今回はモデル病院を元にどの様にして病院の空調方式を検討していけば良いのかを解説していきます。

10年の設備設計経験を経てから20年以上病院施設管理に従事している現役の施設管理者が、空調方式の選択に悩む方へ実践的なアドバイスを提供します。

この記事を読み終わるころには病院における空調設計が具体的にイメージできるようになっていると思います。

今回使用するモデル病院の概要

今回はより具体的な検討の解説をしていくため、著者(マッチ棒)が考えたモデル病院を使用します。概要は下記とし、延床面積11,500㎡、285床、7階建てといたします。

先ずは平面プラン図を下記の画像にて示します。

次に各部屋の面積表を下記に示します。

部門 部屋名 面積(㎡)
1階
外来 診察室 210 
  化学療法室 55 
  内視鏡室 100 
救急 救急処置室 70 
  診察・隔離 60 
放射線 一般撮影 15 
  CT 30 
  TV室 35 
  操作室 55 
リハビリ リハビリテーション 200 
共用部 ホール・廊下 645 
事務 医事課 90 
  薬局 90 
  入退院支援センター 70 
  通路 350 
  職員食堂 90 
その他 厨房 190 
  トイレ・階段・ELV・機械室 145 
  1階合計 2,500 
2階
手術室 手術室(3部屋) 230 
  クリーンホール 170 
  中央材料室 95 
  スタッフエリア 105 
HCU HCU 200 
  スタッフエリア 100 
放射線 MRI室 50 
  操作室・CPU室 20 
透析 透析室 300 
  スタッフエリア 100 
臨床検査 検体検査室 100 
  心電・エコー 90 
健診 健診センター 95 
共用部 ホール・廊下 300 
その他 トイレ・階段・ELV・機械室 165 
  2階合計 2,120 
3~6階
3階病棟 個室 175 
  多床室 525 
  患者食堂・デイルーム 100 
  スタッフエリア 130 
共用部 ホール・廊下 270 
その他 トイレ・階段・ELV・機械室 200 
  1フロア 1,400 
  3~6階合計 5,600
7階
管理エリア 事務室 640 
  会議室 200 
  サーバールーム 30 
共用部 ホール・廊下 260 
その他 トイレ・階段・ELV・機械室 150 
  7階合計 1,280 
     
延べ床面積 11,500 

マッチ棒
マッチ棒

このプランは一般病棟275床、外来診察15診療科、透析30ベッド、HCU10床、手術室3室の病院としています。

マッチ棒
マッチ棒

では空調設計を検討していきましょう!

設計条件の把握

病院の空調設計では、施設の用途、規模、運用形態、地域特性を考慮して設計条件を定めます。

用途とゾーニングの確認

  • 患者エリア: 病室、待合室、診察室など。快適性が重要で、冷暖房や換気性能のバランスを取る。
  • 特定用途エリア: 手術室、HCU、ICU、放射線室など。清浄度、温湿度管理が厳格に求められる
  • 共用エリア: ホール、廊下、ラウンジ。一般的な空調性能でよいが、エネルギー効率が重要
  • 技術室: CPU室やサーバールーム。機器の稼働温度を保つために個別の空調設計が適切

地域と気候条件

  • 日本のどの地域に病院が建設されるかによって、外気温や湿度条件が異なるため、それに応じた空調設備が必要です。
  • 今回は関西地域で比較的標準的な条件を設定。

必要な基準と規制の確認

日本の病院空調設計には、以下の基準や法規制に適合することが求められます。

  • 建築基準法: 建物全体の安全性や性能。空調の観点では換気性能や排煙性能が充分であるか?
  • 医療法: 特定機能病院や病床数に応じた設備要件になっているか?
  • エネルギー消費性能基準: 病院全体のエネルギー効率は適切か?
  • 感染症対策基準: 手術室や陰圧室の換気要件は充分満たされているか?

設計方針の決定

システムの選定

個別空調 or 中央空調…先ずは個別空調の範囲と中央空調の範囲を考える。

  • 個別空調: 小規模病院や特定用途のエリアに適合。室外機の置き場所が確保できる建築計画の場合は個別空調を採用しやすい
  • 中央空調: 中・大規模病院に適合し、全体の管理が容易。300床以上の大規模な病院は室外機の置き場所に限りがあるため個別空調は向かなくなってくる

システムの種類…システムの長所短所を次のように考えて採用を検討する。

  • 電気空冷ヒートポンプチラー: エネルギー効率が良く、全館冷暖房に適する。
  • ガス吸収式冷温水発生機やガスヒートポンプエアコン: ガス料金が安価な場合に有効。電気のデマンドカットにも有効。
  • ハイブリッドシステム: 電気とガスを組み合わせて最適な運用が可能。

特殊用途の対応

  • 手術室: 高度な温湿度制御と清浄度を達成するHEPAフィルター付きシステム。
  • 放射線室: 放射線を扱う機器の発熱量を管理。他の部屋と同系統にする場合冷暖切り替え時期の問題が生じるため個別空調もしくは冷暖同時運転機能を持ったシステムが必要
  • サーバールーム: 24時間稼働可能な専用空調。故障時にも対応できるようバックアップ必要
  • 透析室:ドラフトを感じにくい吹き出し口を採用し、長時間の治療に対して考慮する。
  • 救急:感染症対策に対応するた隔離室を設ける。

 病院の空調方式についての詳細は下記の記事をご参照ください。

⇒病院におススメの空調方式は?【病院の施設管理員が徹底解説!】


オイル社員
オイル社員

やっぱり検討事項が多くて頭が痛くなってきました…

マッチ棒
マッチ棒

ここからが本番やで!次はもっと具体的に考えていくよ!

具体的な設計方針の決定

  • 今回の病院プランは小規模~中規模になるので個別空調か中央空調かを迷うところではありますが、病室にそれぞれ室外機を置くことが出来る近接したバルコニーがあるため個別空調を採用することにする。
  • 病室に個別空調を採用できる場合は、その他の系統もビルマルチ方式を採用するのが望ましい。
  • 手術室・放射線室・サーバールームは後でも述べますが個別空調を採用する必要があります。

中規模~大規模の病院に関しては中央空調方式を採用し、空冷ヒートポンプチラーもしくはガス吸収式冷温水発生機によるファンコイル方式が望ましいといえる。但し冷温水配管の施工が必要でエア溜りや結露対策などの注意が必要になってきます。


具体的な系統分けは?

次に系統分けをしていきますが下記の点に注意する必要がります。

冷暖切り替え時期による検討

部屋の用途によっては冷房と暖房の必要時期に差があり同じ系統にした場合不都合が出てくることがある。こっちの部屋は暖房にしたいのにあっちの部屋は冷房にしたいなど…

中間期(春・秋の比較的気候が良い時期)は内部発熱や人の動きにより暑い寒いが変わってくるため、同じ建物内の同じ時期であっても冷房が必要な場所と暖房が必要な場所が混在します

従ってそれらの部屋を同じ系統にする場合は冷暖同時システムを採用する必要があるが、初期費用を考えるとなるべく避けた方が良い

稼働時間による検討

また稼働時間の差が大きくなると後々の更新時期に影響してくるため、出来るだけ稼働時間が同じ部屋を同一系統にするのが望ましい。空調機は運転時間により更新時期が変わってくるため無駄な更新を避けるために注意が必要です。

系統分けの区分を整理

上記の考え方を元にモデル病院の系統分けを下表に整理しました。

系統 部屋名 面積(㎡)
1階
1F-1 ホール・待合 500
1F-2 診察・化学療法 335
1F-3

リハビリ・入退院支援センター

445
1F-4 医事・薬局 180
1F-5 救急エリア 130
1F-6 スタッフ通路・職員食堂 495
1F-7 厨房 190
1F-8~10 CT・TV撮影・一般撮影 80
2階
2F-1 ラウンジ・廊下・健診センター・心電・エコー 485
2F-2 透析エリア 400
2F-3 HCU 300
2F-4 手術室(スタッフ・通路) 275
2F-5~7 OR-1・2・3 230
2F-8 中央材料室 95
2F-9・10 MRI・CPU室 70
2F-11 検体検査室 100
3~6階
3~6F-1 ナースセンター 80
3~6F-2 デイルーム・患者食堂・処置・IC・控室・廊下 420
  *病室は個別空調とする。 700
7階
7F-1 医局・更衣室 180
7F-2・3 サーバールーム *バックアップ含めて2系統 30
7F-4 ホール・廊下・会議室 460
7F-5 その他事務室 460
  空調面積合計 10,240
  非空調面積 1,260
  合計 11,500
  • 1階に関しては稼働時間を考慮し系統分けを行った。放射線関係の部屋に関しては機器発熱により冷暖切替の時期がずれることや、放射線機器の更新時に空調機器も更新することが多い為個別空調とするのが望ましい。
  • 2階に関しては手術室やHCUには清浄度の確保が必要なので別系統とし、中央材料室や検体検査室は機器発熱があり冷暖切替の時期がずれること考慮して別系統とした。
  • 3~6階に関してはナースセンターは稼働時間が長くなることと、冷暖切り替え時期がずれることを考慮して個別系統とすることが望ましい。
  • 7階に関しては医局・更衣室が稼働時間が長くなりがちなので別系統とする。サーバールームは24時間運転でバックアップを考慮して2系統の専用エアコンとすることが望ましい。
  • 全体に関しては1系統の面積を約500㎡以下とし、フロン排出抑制法による点検要件の圧縮機定格出力25kw未満の第2種冷媒フロン類取扱技術者で点検可能な範囲とした。

フロン排出抑制法については下記の記事をご参照ください。

フロン排出抑制法とは?【具体的に!わかりやすく解説!】


オイル社員
オイル社員

なるほど~病院の実情をわかっていないとこの作業は難しいですね~

マッチ棒
マッチ棒

そう!この辺りは設計士さんともよく話し合って決めていく必要があるね!

オイル社員
オイル社員

よし!この資料パクッって設計事務所さんと打ち合わせしてきます!

マッチ棒
マッチ棒

まだやで~!外気処理空調についても考えなあかんで~!

オイル社員
オイル社員

え~っ!まだあるんですか~!!!やばい…本当に頭が…

外気処理空調の考え方

病院における換気は、患者、医療スタッフ、訪問者の健康と安全を確保するために極めて重要です。換気によって排出される量に見合った新鮮な空気を(外気)を、室内の空調条件に適合させるために加熱・加湿・冷却・除湿などの処理を行う必要があります。病院をはじめとする施設では、適切な外気処理が空調システムの設計や室内環境の維持において重要な役割を果たします。

外気処理空調の設計の手順を次に示しますが、こちらを具体的に解説するのは頭が爆発しそうなオイル君の為にもまたの機会にしたいと思います。

  • 外気処理設計の目的と要件の明確化
  • 外気処理の方式選定
  • 必要外気量の計算
  • 外気負荷の算定
  • 空調機の選定
  • フィルター設計

オイル社員
オイル社員

良かった…これ以上はホントに無理ですわ…

マッチ棒
マッチ棒

そうやな…あまり長くなるといけないのでこの辺にしときましょか!

オイル社員
オイル社員

ふ~っ…疲れた…

まとめ

今回はより具体的に病院の最適な空調設計ついて解説するため、著者(マッチ棒)が考えたモデル病院を用いました。空調の系統分けについての考え方はある程度理解が出来たのではないでしょうか?

実際はこの後に外気処理空調の計画が必要ですし、負荷計算、機器の配置計画、機械室の計画、ダクトや配管類のルート計画など多岐にわたる検討が必要です。

具体的な解説をこれからも随時公開していきますのでよろしくお願いします。

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